最近、「OH!スーパーミルクチャン」のDVDを見ています。

OH ! スーパーミルクチャン ミルク大全集 [DVD]
長島雄一
TCエンタテインメント
2005-04-27


やっぱめちゃくちゃ面白いです。

「私はミルクチャンを何年『面白い面白い』と言い続けるのか・・・」とずっとやれやれと思ってきましたが、面白いと思う気持ちに変わりはありません。

何がすごいって枠の使い方です。

大概の子供向けのアニメは、ストーリー展開の大枠が決まった1話完結型です。続きものでやられても先週やったことなんて覚えてないし、好きなキャラクターが出ていつもの通りやってくれればそれでいいのです。

対象年齢が上がると、大きなストーリーを細かく切った連続もののアニメが多くなります。新しい展開でずっと見てる人を引きつけるというやり方です。


ミルクチャンはガチガチの枠とノリを第1話から打ち立ててヒットを打つとともに、その構造でしっかり遊んでいるのです。


まず、ミルクチャンはおさだまりのストーリー展開、ノリ、決め台詞が尋常じゃない量あります。ざっと思い出すだけでも、

ストーリー展開
ミルクチャンとテツコとハナゲが家でダラダラしている

大統領からミルクチャンへ指令の電話がかかってくる

大家から家賃の催促、追い返し

王様のアイデア研究所に相談、アイパッチ博士のテレビ電話、テツコへのひどい扱い

任務をダラダラ解決

(舞茸あきこ「きのこバター炒め」というビデオエッセイが入る)
(ハナゲの心の声パートが入る)
(林家薔薇蔵の逮捕のニュース)
(ロボ犬とテツコの喧嘩)
(アリの家庭問題)

セリフ
「ばかっつら!」
「ラジャー了解」
「もしもし〇〇です、なーんつってな」
「ステキー」
「これにて任務完了、寿司でも食いいっかー」
「この人が私のパパじゃありませんように・・・」
「やれーやれーノールールでやれー」


ほぼやることは決まっています。これだけパターンが定まっていると飽きそうですが、キャラの造形も声もいいのでノリもセリフも全部ハマっている上、ミルクチャンがだらだらしている時の会話、任務の内容という毎回異なる中身も楽しむことができるのです。



「私は何年尾玉なみえの話をし続けるのか」と、これも恥ずかしい限りですが、ヒーローものの『純情パイン』、変身ものの『マコちゃんのリップクリーム』 も毎回お決まりの流れ、コマというのがありました。


純情パイン (ジャンプコミックス)
尾玉 なみえ
集英社
2001-04T


尾玉なみえ作品はアニメや漫画のパロディまみれの作風で知られ、特にセリフやキャラの元ネタに注目されがちですけれども、おさだまりの大枠を使って、構造でもパロディをやっていました。ミルクチャンも純情パインも毒があると言われますが、かわいいキャラクターの登場や1話完結型という子供向けアニメっぽい手法がよりエグみを際立たせているようです。



あと、ガチガチの枠といえば、ミルクチャンは芸人のラジオ番組的でもあります。おなじみのタイトルコールで始まり、毎週きまった構成で組み立てられ、定番のコーナーでお便りを募集し、ガチガチのお題の範囲内でリスナーが大喜利をする。しっかりとした枠と、そこでの遊びが、パーソナリティという個性の元で展開されるのです。



キャラがただわちゃわちゃしてるわけではなく、瞬間瞬間のセリフにエッジがきいているのにもいてこまされます。さらの、アニメのお決まりの流れの裏切る「そりゃ、みんなびっくりはするやろうけど・・・」ってなるやり方じゃなく、1話完結型を完璧にジャックしているのにも「ク〜」です。


先週、そういったことどもを四谷くんに話したところ、



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ミルクチャン再評価の波が四谷くんのごくごく周辺でおこっていました。何がきっかけだったのでしょうか・・・